読書感想文

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【アンパンマン伝説】を読んだ感想

アンパンマン伝説

著者 やなせたかし

 

 

 

私が通っていた幼稚園は廊下に本棚が設置してあって、そこではたくさんの絵本を読むことができた。アンパンマンは、そんな幼稚園時代の私の思い出の1つだ。保護者がお迎え時間に遅れると、決まって小さなブラウン管のテレビでアンパンマンのビデオを流してくれた。このまま親が迎えに来ることはないのかもしれない、という必要のない不安の中でアンパンマンを眺めていたことも覚えている。

 

やなせたかし先生が2013年に亡くなったことを再認識し、2014年生まれの娘はただの1度も同じ時代を生きてはいないのかと驚く。けれども私の幼少期同様、娘の幼少期にはアンパンマンがいた。

 

この本はアンパンマンの歴史をじっくりと知ることができる1冊になっている。アンパンマンがなぜ子供たちの心を掴んで離さなかったのか、やなせたかし先生曰く芸術的高級絵本とは違い子供だってエンターテイメントが好きなんだという価値観から誕生したストーリーになっているためだという。本来絵本作家は年齢に合わせ複雑に作家が別れているものであるけれど、単純に面白さを追求したらしい。評論家の言葉より2歳児の厳しい評価を信じたというわけだ。登場人物の性格をくっきりと鮮明にする。それぞれのキャラクターが、どのように誕生したのかを知ることができるのも面白い。

 

 

風と共に去りぬを参考にしていたり、パンをむしゃむしゃ食べながら考えたり、人気者にするはずがそうはならなかったキャラクターなど、アンパンマンの製作秘話がたっぷり詰まっている。