読書感想文

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進化が同性愛者を用意した ジェンダー生物学を読んでの感想

進化が同性愛を用意した ジェンダーの生物学

著者 坂口菊恵

 

 

 

地球上の生物において、同性愛というのは珍しい行動ではないというのは現在においては多くの方が知る一般的な事実と言えるのではないだろうか。ここで言う同性愛とは、それが正しいのか否かも含めてホルモン、また染色体がX同士、あるいはY同士であるという染色体による定義上の女性、または男性同士のことを指している。そしてその生物学的性とは何かというところからスタートすることができる。つまり、性別とは何か?という疑問を投げかけられるわけだ。

 

本書ではさまざまな研究者の論文が提示され、それがどのように議論をもたらしたのかどうかを示してくれている。面白いと感じたのは、進化生物学から派生した適応主義の理論だが、正直なところ【性の多様性の本当の意味を明らかにする】というキャッチコピーにあるような、性の多様性の本当の意味、つまり進化生物学的なプロセスの話ではなかった。

 

同性愛というのは、マイノリティな行動ではないですよという提示に留まっているように思えた。どのあたりが【進化が】【用意した】ものとなるのだろう。誤解しないで欲しいのだけれど、私も綺麗な女性が好きだし同性愛自体を否定したいのではないし、同性愛が不自然であると言いたいわけでもない。同性愛の合理性、それが進化生物学で語られていると期待しすぎていたのかもしれない。同性愛とは何か?を何かという点を知りたい方は楽しめる1冊でしょう。