読書感想文

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眠れなくなるほど面白いカラスの話を読んだ感想

眠れなくなるほど面白いカラスの話

作者 松原始

 

カラスにまつわる話を実にシンプルに解説してくれているのが本書の特徴。カラスの話に対して【図解】とはどういうものになるか気になっていたのだけれど、右ページで文章説明された内容を左ページでパワーポイントでまとめたんだね!という構成になっている。知識の定着率、上がるね!という感じで同じ内容を繰り返し読むことにはなるんだけれど、この可愛いカラスのイラストこそが、この本の楽しみだと言えるかもしれない。

 

さて、私はカラスにそこまで嫌悪感を抱いたことがない。というのも、私自身が田舎の山育ち故、ゴミをあさるカラスやヒナを守るために攻撃的になったカラスに遭遇することなく成長したからではないかと思う。

 

今現在も田舎暮らしは相も変わらずなわけだけれど、子供時代に過ごした田舎よりは田舎らしさの減った田舎に住んでいる。娘と犬の散歩をしているとカラスがカーカーカーカーとても騒がしい。「おい!こっちに来るんじゃねーぞ」と怒っているのかもしれないねなどと軽口を叩いたばっかりに、娘はその道を通る時にカラスに攻撃されないか怖いと言い出したので、ふむむカラスはなぜ鳴いているんだろう?と、思って手に取ったのが本書なのだ。

 

カラスの言葉(と表現したい)が「カーカー」「カァーッ」「ガー」などと色々と記されている。なるほど、だいたいこんな気持ちだったのかと笑って楽しむことができる。こうなると娘とカラス会話ごっこが楽しめる。のだが、残念。娘はもうそんなに幼くはないようで、それほど興味を示さない。自分自身に対するカラスの攻撃性がないと分かれば、それだけで満足らしい。カラスは耳と記憶力がいいので、上手に鳴きまねをしたら「なんやねんこいつ?!」と、そんな気持ちにもなってくれるようなので、お友達になるきっかけにもなるかもしれない。

 

様々なカラスにまつわる話の中で面白いなと感じたのは、カラスの優位性の話だ。カラスの群れには上下関係が存在する。大きい個体、強い個体が上で餌を先に食べることができる。が、カラスの上ができるのはそれだけで、下に対して何かを命じることはないというのである。動物の世界は縦社会と横社会がはっきり分かれていることが多いので、この「群れに対するフランクな姿勢」がカラス特有のものなのか、他の鳥類や動物でも見られるものなのか非常に気になるではないか。むむむ、カラスについてもっと知りたくなってしまった。

 

 

カラスについてざっくりと面白く解説されている本書は、まあカラスのことについて知ってあげてもいいよ?くらいのスタンスの人も楽しむことができるという点で非常に面白い一冊だ。カラスってかわいい。